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提案者紹介

<提案者紹介>「ぼくとハイタッチ」 保護犬とのふれ合いでひきこもりの社会復帰を

 市民・地域団体・企業などが自ら「やってみたい夢」を、賛同してくれる仲間を募り、地域とのつながりをつくりながら実現する「まちだ○ごと大作戦」。
 作戦実施に向けて、仲間をつくり、提案を練り上げている人々がいます。
 今回はその中の1組、ひきこもりの若者の自立支援と保護犬と里親をつなぐ「ぼくとハイタッチ」を企画している坂田則子さん(鶴川在住)と森本とも子さん(小山田在住)にお話をうかがいました。

 発案者の坂田さんは5年前、年老いた愛犬を看取るという経験をした。「老犬を介護していると外出もしづらく、孤独な思いをした。そして、犬を介護している時の飼い主のメンタルをケアする方法もないことが分かり、老犬の介護ステーションを思いついた。と同時に、以前、障がい者就労移行支援事業所(障がいのある人が就労を目指して通所する施設)で、職業訓練指導員(就労支援員)としての仕事に携わった経験から、そこを、社会の中で生きづらさを抱えながらいる方々と一緒に働く場所にはできないだろうかとも思った」という。親しい友人にその思いを伝えたところ、「何らかの形で発信すべきだ」とアドバイスされ、もう一人の知人を加えて3人で準備を進めていた。ところがその友人が3年前、がんで急死。坂田さんはショックで計画をストップした。

坂田則子さん
坂田則子さん

 立ち止まっていた1年間で、「意識していないつもりでも意識していたんでしょう。ひきこもり問題や犬の殺処分問題などの新聞記事がとにかく目について、何だかやれっ!て言われているような気がしてきた」という。そんなとき、「たまたま市役所に行って、○ごと大作戦のパンフレットを手にして、これだっ!と思ったんです」と振り返る。米国在住時代に、アメリカの少年院の少年たちが保護犬を一人一頭育てるというプログラムを実践し、自己肯定感や他者への愛情を持つことを学ぶ「アニマルセラピー効果」を紹介するテレビ番組を見たことを思い出し、企画をまとめ、エントリーした。

 再び一人で歩き始めた坂田さんに出会いが生まれる。市の広報誌に動物のしつけ講座の案内が掲載されているのを見て、講師を務めていたドッグトレーナーの森本さんを紹介してもらった。町田動物愛護の会の会長を務める森本さんは、放棄動物の里親探しの支援もしている。「放棄された犬は里親に出す前に、ボランティアの家庭でいったん預かってもらい、しつけや人間への信頼を取り戻してもらうんです。そこをひきこもりの方に担ってもらえれば」と坂田さんの取り組みに参加することを決めた。森本さんは「犬は、少しでも自分に興味を持ってくれる人が分かるし、動物は人の心を動かしてくれるので、きっとひきこもりの方の心も動かすと思います」と語る。

森本とも子さん
森本とも子さん

 仲間を得た坂田さんは「ずっと一人やってきたので本当に心強い」と話す。さらに○ごと大作戦にエントリーしたことに関して「一人で動いていたときは、話を聞きたい相手に会う時間をとってもらうことも難しいところがあったが、大作戦にエントリーして、事務局に橋渡しをお願いすることで面会までの段取りがスムースに進む」と話す。森本さんも「動物愛護の関係で保健所にはいつも来ていたのに、ひきこもりなどの窓口が保健所だったことに気づかなかった。これも大作戦に参加して気づいた」と笑顔を見せる。

 作戦名は、ホームレスになったミュージシャン志望の青年がけがをした野良猫を助けたことをきっかけにチャンスをつかむというストーリーの映画「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」をヒントに名付けた。坂田さんは「ハイタッチってとてもポジティブなコンタクトだと思う。人間も動物もどちらもウィン=ウィンになるようなイメージで、握手よりは気軽なコミュニケーションなので手を出しやすいと思います」と語る。森本さんも「動物も人間も共に幸せになれるような関係をつくりたい」と前を向く。

 現在はひきこもりの対応の専門家などを訪問し、仲間を増やした段階で、詳細な企画づくりに進みたいという。坂田さんは「いろいろな方の意見を聞いて進めていきたい。是非仲間になって」と呼びかけている。

▶︎関連作戦ページ:ぼくとハイタッチ