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作戦レポート

SLが走っていたまち“あいはら” 地域の力で「電動」ミニS Lを走らせる

 相原にぎわい創生プロジェクトは2020年8月6日、相原のゆくのき学園の校庭で「電動化」したミニS Lの試運転を行いました。

 真夏の太陽の下、地元の法政大学の学生グループも協力してレールを校舎から校庭に運び出し、モーターを載せ動力車として改造した炭水車(蒸気機関車に連結されている石炭や水を積載した車両)を、機関車本体と客車の間に連結しました。レールを敷設するのも初めてで、炎天下、レールとレールをつなぐのに苦労していましたが、ミニSLが走り出した時は参加者全員から笑顔があふれました。この日の試運転では、動力車の不具合もあり実際に客車に人を乗せて動かすことはできませんでしたが、電動化したミニSLがちゃんと走るという一定の目途がたったことから関係者は大きな手応えを感じた様子でした。

線路をつなぐ様子
線路をつなぐ様子

 東神奈川と八王子を結ぶJR横浜線は明治41年開業で、開業当時の9駅の中でも相原駅は多くの貨物(生糸や炭)の出荷量を誇り、SL(蒸気機関車)の石炭台や給水施設を備えた物流の中心でした。この相原の歴史を、次世代に伝え、“まちおこし”をする取り組みが「SLが走っていたまち“あいはら”」です。

開業当時の相原駅と機関車の模型
地域住民が制作した開業当時の相原駅と機関車の模型

 当初の計画では、地域住民から当時の記録写真などを集めパネル化し、また地域住民が作った開業当時の相原駅及び機関車の模型を活用してPR活動を行うほか、地域のイベントでレンタルしたミニSLを走らせようと考えていました。そこで、同プロジェクトが目を付けたのが、町田まちづくり公社が所有するかつて横浜線を走っていたSL『C58倉庫で』と同型のミニSLです。このミニSLは、以前は、ぽっぽ町田などで乗車イベントを行っていましたが、故障に加え、整備や走行を行う技術者の不足などの問題によって走行不能となり、ぽっぽ町田の眠っていました。

 同プロジェクトは相原地区連合町内会とともに、町田まちづくり公社に対し要請し、地域のシンボルとして活用し、将来的には町田市(相原中央公園)に寄贈する方向で、ミニSLを譲り受けることができました。

相原にぎわい創生プロジェクトの土田恭義代表
「相原にぎわい創生プロジェクト」の土田恭義代表

 相原にぎわい創生プロジェクトの土田恭義代表は「当初ミニSLは展示のみの予定で、動かす場合はレンタルで別の機関車を借りてくるということを考えていましたが、プロジェクトメンバーに、電気技術者がいたので、蒸気機関で動かすことにこだわらずに、電動化すれば自力でイベントなどで走らせる事ができるんじゃないかと考え、必要なパーツを揃えて改造し、電動駆動化までこぎつけることができました。」と語りました。また「このミニSLを通して、地域住民や大学生といっしょに汗をかきながら”まちおこし”をするということが一つのポイントです。ミニSLの保管場所を提供してくれたゆくのき学園が、授業の中でもSLを扱っていただけるという事になりました。ミニSLを地域のことを学ぶ授業の中で生かしてもらうのも、この”まちおこし”の大事なポイントです。」とも話しました。

「ゆくのき学園」の櫻井幹也校長
「ゆくのき学園」の櫻井幹也校長

 小中一貫校であるゆくのき学園の櫻井幹也校長は「来年の1月頃に小学校の3年生で地域歴史の授業があるので、その時にSLの歴史にふれることができればと思っています。相原の地域がどのように発展したかなどを子ども達が学ぶきっかけになればとってもいいなと思います。また、(ミニSLの)機関車を電気で動くように改造したということで、中学校の技術科の授業でふれることができればと思います。」と話します。

ミニSLの電動化を担当した相原在住の谷井政信さん
ミニSLの電動化を担当した谷井政信さん

 ミニSLの電動化を担当した相原在住の谷井政信さんは「機関車自体を電動化してしまうと、SLの特徴的な動輪など、ほとんど原型がなくなってしまうので、あまり実績がない方法でしたが後ろの炭水車を電動化することにしました。今回、機関車を押して客車を3両引っ張るというとこまで確認できました。途中で止まってしまいましたが、故障した原因を特定すれば間違いなく、客車に人を乗せて動かすことができると思います。」と次回に向けての自信をのぞかせていました。

学生のグループ「へりぽーと」のメンバー
学生のグループ「へりぽーと」のメンバー(橋本さん 右から二人目)

 このプロジェクトに協力している法政大学の学生のグループ「へりぽーと」の橋本空さんは「今日はミニSLの試運転でしたが、実際に子ども達が乗って楽しんでいる姿も見たいと思っています。また、コロナ禍で活動やイベントなどをあきらめてしまう団体も多いですが、屋外でマスクをして”密”にならないようにして、ちょっとずつ活動していくことも大事だなと思いました。」と話していました。

客車に乗るゆくのき学園の児童
客車に乗るゆくのき学園の児童

 当日、試運転の様子を目を輝かせて見ていたゆくのき学園の子ども達に乗車のチャンスが巡ってきましたが、動力車の不具合で残念ながら電動化後初の乗客になることはできませんでした。がっかりする子ども達の様子を見た「へりぽーと」のメンバーが人力で客車を引っ張り、擬似的な乗車体験をプレゼント。夕暮れが近づく校庭に、喜ぶ子ども達の「もっと!」という声が響いていました。

 後日改めて行った試運転では、約130mの周回軌道を何度も走行して耐久性を確認し、またゆくのき学園の子ども達に乗車してもらって安全性なども確認し、乗車イベント実施に向けた試運転は無事完了しました。

 相原にぎわい創生プロジェクトでは、「SLの走っていたまち“あいはら”」のPRのために、地元相原だけでなく、〇ごと大作戦の他の取り組みでもミニSLの乗車イベントを計画しています。

ミニS Lの試運転に参加したメンバー
ミニS Lの試運転に参加した皆さん

関連作戦ページ

▶︎SLが走っていたまち“あいはら”

関連写真・動画

電動化したミニSLが走りだす様子
電動化した炭水車
電動化した炭水車
電動化した炭水車のコントロールパネル
電動化した炭水車のコントロールパネル
蒸気の噴き出しを擬似的に再現
蒸気の噴き出しを擬似的に再現している様子
校庭に運搬中の機関車
校庭に運搬中の機関車
校庭に設置した線路とミニSL
校庭に設置した線路とミニSL
地域住民が制作した開業当時の相原駅の模型
地域住民が制作した開業当時の相原駅の模型
地域住民が制作した開業当時の相原駅の模型
地域住民が制作した開業当時の相原駅の模型

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