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作戦レポート

〇ごと(まるごと)の取り組みを通して考える地域 小山田桜台

 小山田桜台で行われている2つの取り組み「谷戸池と有用微生物とのコラボレーション」と「みんなでつくろう! 桜台ほっとスペース大作戦」の提案者グループの方に、取り組みの事と地域への思いについてお話しをうかがいました。(取材日 2020年11月16日)

◆谷戸池と有用微生物とのコラボレーション

「谷戸池と有用微生物とのコラボレーション」とは・・・
 小山田桜台の中心に位置する谷戸池を、有用微生物の力を使って50年前の蛍が飛び交い、魚の姿が見え、泳げる池に少しでも戻したいとの想いで、「小山田桜台まちづくり協議会」が○ごと大作戦に挑戦したものです。取り組みを始めた2018年から2年間は台風や大雨による増水、日照りや湧き水量の減少など、天候によって水量が安定せず、微生物の活動環境を保てない期間が続きました。そこで、2020年8月に、谷戸池に攪拌機を試験的に導入し、水を対流させることによって、微生物が水質を改善しやすい環境を整えました。現在は、麻布大学の先生のアドバイスを受けながら定期的に水質測定検査を行い、改善効果を確認しています。

「小山田桜台まちづくり協議会」のメンバーで、 左から「小菅庸夫」さん、「内田宏實」さん、 「宮原正國」さん、「小橋裕」さん
お話をお聞きした「小山田桜台まちづくり協議会」のメンバー (左から)「小菅庸夫」さん、「内田宏實」さん、 「宮原正國」さん、「小橋裕」さん

小山田桜台団地とは・・・・・
 同協議会代表の内田宏實さんは「私たちは団地の良好な住環境を維持し住みよい街をつくること、また将来の建て替えを見据え「一団地の住宅施設※」を「地区計画」へ移行し、“持続可能マンション再生”を目指して活動を継続しています。今から15年くらい前に始まった住民によるゴミ拾い防犯パトロールや谷戸池清掃活動はその街づくりの一環です。」と話します。

かつての谷戸池とは・・・・・
 団地造成前を知る小橋裕さんは「かつては桜台から鶴見川に続く水路に蛍が生息していました。団地の建設で暗渠水路になった1987年までは団地付近で蛍を見ることができました。そんなかつての自然環境を少しでも取り戻せれば。」と夢を語ります。

谷戸池の浄化に関心を持ってもらうために・・・・・
 小菅庸夫さんは、「団地や地域の人に谷戸池浄化活動にもっと興味を持ってもらおうと、7月に「浄化作戦会議」と称して、かつての谷戸池の話しや浄化作戦の取り組み等の説明会を開催し、28名の方々にお集まりいただきました。また、池の周りの通路3カ所に○ごと大作戦ののぼりを、ほとりに簡易掲示板を立てて、小山田桜台まちづくり協議会が発行している『谷戸池アクションニュース』や『小山田桜台まちづくり通信』を掲示して情報発信をしています。」と話します。

掲示板に貼られた『谷戸池アクションニュース』や『小山田桜台まちづくり通信』
掲示板に貼られた『谷戸池アクションニュース』や『小山田桜台まちづくり通信』

手つかずの谷戸池の浄化作戦に挑戦して・・・・・
 宮原正國さんは「攪拌機を使った水質改善の取り組みは、水質変化を数値で裏付けるには至っていませんが、池の周りを散歩する住民の方からは『池の鯉が見えるようになった』『カワセミの姿をよく見るようになった』などの声が届きました。体感的には水質や環境がよくなっていると思っています。」と手応えも感じている様子でした。

水質検査の様子(小山田桜台まちづくり協議会 提供)
水質検査の様子(小山田桜台まちづくり協議会 提供)

※「一団地の住宅施設」とは、良好な住環境を有する住宅の集合的建設とこれに付随する道路・ 公園・店舗などの公共・公益的施設を一体的に整備することを目的とした都市計画法に基づく 都市施設で、建てられる建物用途から建ぺい率・容積率に至るまで規制されます。

◆みんなでつくろう! 桜台ほっとスペース 大作戦

「ほっとスペースさくらさくら」とは・・・・・
 小山田桜台団地内の空き店舗に、団地や周辺の住民が気軽に立ち寄ることができる居場所「ほっとスペースさくらさくら」が2020年10月29日にオープンしました。手頃な価格で、家庭の味が楽しめる薄味でできるだけ安心な食材で作った惣菜の販売や、日常の困りごとを行政や民間の担当窓口につなぐ相談サービス、高齢者の日常の困りごとを30分500円でお手伝いする日常生活支援サービスなどを提供しています。

「町田・ワーカーズまちの縁がわ小山田桜台」のメンバー
「町田・ワーカーズまちの縁がわ小山田桜台」のメンバー(「ほっとスペースさくらさくら」スタッフ)

みんなが気軽に集まれる場所をつくろうと・・・・・
 この取り組みを行っている「町田・ワーカーズまちの縁がわ小山田桜台」代表の石毛鍈子さんは「取り組みのきっかけは、高齢者の多いこの団地で暮らす上で、助けが必要な時に声をかけてくれる友人・知人が作れればと始めた住民同士の親睦の場としてのお茶会です。お茶会は団地の集会所で行っていましたが、団地の商店街に空き店舗が出たので、お茶会のメンバーで話をして、『じゃあ、借りてみよう』とUR都市機構に申請。その空き店舗を借りて、みんなが集まれる場所を作ることにしました。」と話します。

石毛鍈子さん
石毛鍈子さん

何もない空き店舗からのスタート・・・・・
 木野直美さんは「借りる店舗は何もないスケルトンの状態でしたが、とにかく借りなきゃということで頭がいっぱいで、内装を整えてみんなが集まれる場所にするための工事費用の事は念頭にはありませんでした(笑)。そのため一生懸命、色々な助成金の申請をしました。また、かける費用を少しでも減らそうと中古の厨房用品店を何店舗も回りました。」と苦労もあったようです。
 せっかく一から作るなら地域の人にも関わってもらい愛着を持ってもらおうと、専門の工事業者以外でもできる壁や棚の色塗りなどは、地域住民に協力してもらったそうで、親子で参加された方もいて子ども達も楽しそうに壁にペンキを塗っていたそうです。

リフォームの様子
リフォームの様子(町田・ワーカーズまちの縁がわ小山田桜台 提供)

 木野さんは「コロナの関係もあって現在はお惣菜の販売が中心ですが、落ち着いたらこの場所で地域の方とお話ししながらの食事会を開催する予定です。そのために、大きな丸いテーブルを用意しました。」と自慢げに話します。

木野直美さん
木野直美さん

オープンして商店街に変化が・・・・・
 副代表の田原てる子さんは「まだ、オープンして半月程度ですが、商店街に活気が出てきたように感じます。向かいのスーパーから出てきた人が、お惣菜以外にも趣味で作った作品の展示・販売ができるレンタルBOXにも興味をもってのぞいてくれたり、ここで何をやっているかをよく見に来てくれます。」と、手応えと商店街の様子の変化を感じているようです。

田原てる子さん
田原てる子さん

◆二つの取り組みを通して考える桜台団地

 二つのグループの方々に、取り組みや地域に関心をもってもらうにはどうしたらいいと考えているか、座談会形式でお話しをお聞きしました。

—— 団地の高齢化が進んでいますが、若い人たちや子どもに地域や取り組みに関心を持ってもらうにはどうしたらいいと考えていますか。

宮原さん:谷戸池公園には冒険遊び場があって子ども達で賑わっているので、子どもに関心を持ってもらえるよう池の生き物観察会の実施を計画しています。親子で来てもらえればと思っています。

石毛さん:ほっとスペースの壁の一部は黒板みたいになっていて、小さいお子さんが自由にお絵描きできるようにしたので、子連れの方に気軽に立ち寄ってもらいたいですね。また、この団地の中にも保健師さんなどもいますので、何気ない子育ての相談などもできる場所にしていきたいです。

木野さん:嬉しいことに、取り組みに関心を持ってくれた子育て世代がメンバーに加わってくれました。地域には小学校や保育園などがあるので、新しいメンバーにもPRをしてもらい、近所の子ども達や先生達にほっとスペースに遊びに来てもらいたいと考えています。

座談会の様子
座談会の様子

—— では反対に高齢者の方に関心を持ってもらうにはどうしたらいいと考えていますか。

宮原さん:ほっとスペースさんとも協力して、お惣菜などの買い物の代行サービスなどができないかと。商品を配達することで、安否確認にもなります。

木野さん:シャッターが閉まったままの店舗だった場所が、ほっとスペースになったことで、商店街が明るくなったと声をかけてくれる人が想像以上に多かったです。商店街が活性化して、商店街に来てくれる人が増えると、家に籠もりがちな高齢者も商店街やこの場所(ほっとスペース)に来ると家にいるより楽しいと関心を持ってもらえると思っています。

内田さん:男性は女性と比べると、地域とのつながりが薄い方が多い。デイサービスの方とかに聞くと、例えば麻雀教室とかをやると男性はよく参加されるそうです。桜台でも、営業時間外にほっとスペースをお借りして、麻雀教室などをやって実際に集まりやすい環境を作り、それをきっかけに地域に関心を持ってもらい、地域の話をすることができるようにしていければと考えています。

 短い時間の座談会でしたが、参加されて方々は、地域の力で谷戸池の自然環境の復元や商店街の活性化をさせることで、団地の魅力をアップさせ、小山田桜台団地を「住みよい街」「住み続けたい街」にしていくことを真剣に考えているのが皆さんの言葉や表情から伝わってきました。

関連作戦ページ

▶︎谷戸池と有用微生物とのコラボレーション
▶︎みんなでつくろう! 桜台ほっとスペース大作戦

関連写真・動画

取材の様子(撮影・編集 佐藤淳)
谷戸池の攪拌機
谷戸池の攪拌機
谷戸池の鯉
谷戸池の鯉
ほっとスペースさくらさくら
ほっとスペースさくらさくら
ほっとスペースさくらさくらのお惣菜
ほっとスペースさくらさくらのお惣菜
作品の展示・販売ができるレンタルBOX
作品の展示・販売ができるレンタルBOX
ほっとスペースの壁の一部は自由にお絵描きができる
ほっとスペースの壁の一部は自由にお絵描きができる

(写真:佐藤淳)

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